――力とは?
他者を従わせる根拠です。
大きく三通りの力があります。
軍事力、経済力、文化力、この三つです。
核武装とか、基地破壊能力とかは軍事力です。
円安とか、原産地規制とかは経済力です。
日本のアニメやビデオゲームが世界中で親しまれたとかは、文化力です。
リアリズム論者(リアリスト)は、
「軍事力だけが力であり、他は軍事力があってこそ発揮できる力である。もしも軍事力なしで発揮できたとしても、軍事力に取って代わることはなく、軍事力によって覆される」
という考え方の人達です。
リアリストでも特に頭の悪いひとたちが大きく誤解をしているのは、リアリストが増えれば、増えるほど、強いられてリアリストになるひとがますます増える(歯止めがかからない)と思っているところです。
――少し解説します。
たとえばブランコ(単振動)というのは物体が端にいくほど、逆方向の力が強くなります。
その結果、ある地点で運動の方向が逆転します。
ここでいう「歯止めがかからない」というのは、そのような力学を獲得していないということです。
ものの喩えでよいのであれば、リアリズムにはもっと痛烈な皮肉があります。
それはイソップ童話の『犬と肉です』

川の水面に映った写像に向かって吠えて、咥えていた肉を落とす話です。
頭の悪いリアリストは、対面するものを当然、リアリストだと見なしています。
結果、咥えていた肉を落とすが如く、戦争へと一気に歩みます。
台湾有事をイシューであるかのように報じることも、あれから半年以上が経ち、多くの有権者に見透かされています。
「対米自立」
という主張をするリアリストも散見されるようになりました。
今、日本のリアリストは、対米について大きく二通りあります。
それは従属と自立のいずれかです。
日本は、トランプ(アメリカ)と習近平(中国)の間に挟まれて、オセロの駒のようにリベラル価値を放棄しようとしています。
リベラル価値とは、法的拘束力がなくても諸々を話し合いで決定する価値観です。
それは国際社会においては、主に為替です。
戦争への歩みというのは、為替の取り決めを特定の国が反故することで歩調が早まります。
円の購買力を回復させることは、日本をリベラル価値に留める復元力になります。
リアリストは、それすら軍事力を前提とし、そして目的とするものだと思っています。
――頭の悪いリアリストは、本当は、たとえばプラザ合意のような国際協調がなぜ可能なのか、そもそもわかっていないのです。鋭敏なリアリストは、軍事力のパワーバランスによって実現しているという解釈でオーバーラップしていますし、本気でリベラル価値を信じるリベラリストがいることも理解しています。そして利用しようとします。
ここで日本版リアリストは、総じて頭が悪く、対米従属であれ、対米自立であれ、防波堤であるはずのリベラリストを攻撃します。これは欧米のリアリストや軍国主義者らの足元にも及ばない、劣った挙動です。
その理由は見え透いています。
――要は、展開が早すぎるんですよ。
つい最近まで戦後の反戦教育を妄信していた有権者らに対して、政治が事を急ぐあまり、デマとヘイトで恐怖を煽り倒しているじゃないですか。――ああいったものに触発されたひとは可哀想なくらい頭が悪くなったと思いますよ。
これは言い過ぎかもしれませんけれど、人間には無意識レベルの思考があります。
外国人を差別するひとたちは、心の奥底でこう思っているんですよ、
「わたしは政治によってぞんざいに扱われた」
本当は差別煽動者の言いなりでもないんですよ、一人称のアウトレイジなんですよ。

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